私たちの暮らしでは、「個人情報」と「プライバシー」という言葉はあまり区別することなく使われています。この2つの言葉は深く関係していますが、厳密に言えば、意味が異なります。
これまで学んできた通り、「個人情報」とは、
本人の氏名、生年月日、住所などの記述等により特定の個人を識別できる情報のことです。
一方、「プライバシー」には「個人や家庭内の私事・私生活。個人の秘密。また、それが他人から干渉・侵害を受けない権利。」(小学館「大辞泉」より)という意味があるほか、最近では、「自己の情報をコントロールできる権利」という意味も含めて用いられることがあります。
個人情報保護法やJIS Q 15001の定めた個人情報保護についての規格は、企業や団体などの事業者が「個人情報」を適切に取り扱う方法を規定したものであり、プライバシーの保護を直接の目的とはしていません。ただし、このような法律や規格が守られることで、意図しない「個人情報」の取り扱いが抑制され、結果的にはプライバシーも保護されるようになっていくのです。
「プライバシーマーク制度」は、事業者が「個人情報」を取り扱うときに、その仕組みや手続きとそれを運用する体制が制度で求める基準を満たしているかを評価し、適合した事業者にプライバシーマークの使用を認める制度です。この制度を通じて、適正に「個人情報」を保護する環境が実現されることを目指しています。
「プライバシーマーク」の呼び名は、プライバシーの侵害のない安心・安全な社会の実現への願いを込めてつけられました。
(参考)個人情報保護委員会のホームページ「よくある質問(個人向け)」では、個人情報保護法上の「個人情報」とプライバシーとの違いについて次のように記載しています。
「個人情報保護法上の「個人情報」とは、生きている個人に関する情報で、特定の個人であると分かるもの及び他の情報と紐づけることにより容易に特定の個人であると分かるものをいい(法第2条第1項)、個人情報保護法によって保護の対象となります。個人情報保護法上、プライバシーの保護や取扱いに関する規定はありませんが、個人情報保護法は、「個人情報」の適正な取扱いにより、プライバシーを含む個人の権利利益の保護を図るものです。一方、プライバシーは「個人情報」の取扱いとの関連に留まらず、幅広い内容を含むと考えられます。そのようなプライバシーの侵害が発生した場合には、民法上の不法行為等として侵害に対する救済が図られることとなります。」