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国家資格の介護福祉士を養成する専門学校や大学などが、深刻な入学者不足に悩んでいる。将来の介護の担い手を増やそうと、養成校では、高校生を介護施設に招いて魅力をアピールしたり、外国人留学生が学びやすい環境を整えたりするなど試行錯誤を続けている。(長原和磨)
「年をとってもいつまでも元気でいられるように仕事をするのが、私たちの役割です」 東京都国立市のデイサービス「くにたち北高齢者在宅サービスセンター」で10月中旬、介護福祉士の林瑞哉(みずちか)統括施設長(61)が、都内の高校や日本語学校に通う若者10人に、介護施設で働くやりがいを説明していた。 近くの東京YMCA医療福祉専門学校のオープンキャンパスの一幕だ。介護現場に興味を持ってもらい入学者増につなげようと、学生の実習先でもある同センターに打診し、6年ほど前に始めた。 在学生との交流や授業の模擬体験が中心のオープンキャンパスで、高校生らが介護現場を訪れる取り組みは珍しいという。1996年の開校時から介護福祉科を設ける同校だが、近年は入学者が減少し、在校生は160人の定員に対し半分に満たない。渡辺義昭・就職指導室長(59)は「施設との連携は強みで、訪問は学生募集の目玉」と位置づける。 この日は参加者と施設利用者が交流する時間も設けられ、都立高校2年の工藤萌花さん(17)は「高齢者と話すのは楽しかった。入学したいという気持ちが強くなった」と目を輝かせた。 飯田短期大学(長野県飯田市)は、女子校だったが、今年度から男子にも門戸を広げ、学生確保を狙う。大学や短大の男女共学化の流れを踏まえた。生活科学学科介護福祉専攻のクラスでは男子学生6人が、女子学生17人とともに学んでいる。
留学生のみを受け入れている奈良介護福祉中央学院(奈良市)は、校舎内に日本語学校を併設する。 同学院は、介護施設などを運営する社会福祉法人が、廃校になった小学校校舎を奈良市から借り、2020年4月に開校した。校舎1階で養成校の学生が介護を学び、2階では日本語学校の学生が授業を受ける。 介護福祉士を目指す留学生は、養成校入学前に1年~1年半程度、日本語学校で学ぶのが一般的だ。日本語学校と養成校が同じ場所にあるので、通いやすく、同じ仲間と学び続けられるのがメリットだ。 養成校2年のタイ人留学生セリギティグン・サティガーンさん(27)は「勉強している時に分からない日本語があれば、日本語学校の先生にすぐに質問できる点も便利だ」と笑顔で語る。 兵庫県丹波篠山市の篠山学園も学生約80人の全員が留学生だ。同校は17年に県立高校跡地の校舎に開校し、敷地内に家具や冷蔵庫、電子レンジなどを備えた学生寮も整備した。最大約160人が入居可能で、現在約60人が暮らす。 両校とも、学生にアルバイト先として近隣の介護施設を紹介し、生活の安定につなげ、職場体験を通じて就職も後押しする。 奈良介護福祉中央学院などを運営する小谷勝彦(まさひこ)学園長(78)は「介護現場の人手不足が深刻化する中、日本の養成校を魅力的に感じる留学生を増やすため、生活全体をサポートする取り組みが重要だ」と強調する。
文章来源:https://news.yahoo.co.jp/articles/4297bed573d04cdc6b5868235be68ca83a8e2f78